デルメ食トレmagazine 第11弾(強豪校の身体づくり) 明豐高等学校 | メディケアスポーツ
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デルメ食トレmagazine 第11弾(強豪校の身体づくり) 明豐高等学校

大分県明豐高等学校

“聖地”で感じた身体の細さ
甲子園の頂点を取るために

2021年センバツ準優勝、4年連続での夏出場など、甲子園ではすっかりおなじみの明豊高校。しかし、その強化過程は決して順風満帆だったわけではない。チームが変わる大きなきっかけは、甲子園で味わった屈辱的な大敗だった。

野球部・監督
川崎絢平 (かわさき じゅんぺい)
野球部・監督
川崎絢平 (かわさき じゅんぺい)

1982年、和歌山県生まれ。智辯和歌山高校、立命館大学出身。高校1年時に甲子園優勝。12年秋から明豊高校で監督を務め、春夏計9度甲子園に出場。21年春に準優勝。

走攻守+フィジカル
4拍子揃った春の九州王者

 2024年世代の明豊には力があった。春夏連続で甲子園出場を果たし、春の九州大会では今夏の甲子園で2年連続4強入りした神村学園(鹿児島)を6対0で下して優勝。春の時点でふたりのUー18侍ジャパン候補を擁するほど、チームの戦力は充実していたのである。

 2012年秋から指揮を執る川崎絢平監督も、公の場で日本一奪取を公言するほどの手応えだった。 

 「2024年のチームは、例年以上に〝身体〟が備わっていたチームでした。実際に栄養面でチームをサポートしてくれているトレーナーも『明豊の歴代ナンバーワンだ』と言っていたほどです。身長から体重を引いた数値や体脂肪率、除脂肪体重などを独自の計算によって割り出した数値が、今までのチームで一番高かったそうなんです。つまり投打のバランスの高さや機動力の高さに加え、身体の強さが備わっていたのです」。

 川崎監督の言うように、24年世代の明豊は石田智能(3年)、木村留偉(3年)というふたりの日本代表候補に加え、50m5秒9の俊足と4度の甲子園経験を誇る高木真心(3年)や、高校通算22本塁打の芦内澄空(3年)、最速147㎞/h右腕の野田皇志(3年)などのタレントが揃っていた。走攻守の能力値や実績、そこへ「歴代最高」のフィジカルという武器が加わったのだ。

 しかし、そんなチームでも全国のトップまで勝ち上がることができなかった。甲子園では小松大谷(石川)に8対4で敗れ、まさかの初戦敗退に終わってしまう。日本一を目指した川崎監督と明豊ナインは、あらためて勝負の厳しさを思い知らされた。

 川崎監督が食による身体づくりを意識しはじめたのは、2015年の夏。監督として初めて出場した甲子園で、明豊は初戦で仙台育英(宮城)に1対12という大敗を喫してしまう。初回だけでいきなり5失点。終わってみれば計20安打を浴び、大会最多記録の1試合10二塁打を許した。

 「仙台育英の選手はみんな身体が大きくて、球は速いし、振ればバックスクリーンに叩き込んでしまう。相手打者が打った瞬間、ウチの選手は常に後ろばかりを見て走っていましたからね。しかし、最初に身体の小ささを実感したのは、試合ではなく全出場チームが一堂に会する開会式の入場行進でした」。

 明豊の選手が入場してくる姿を見て、あまりの細さに驚いた。しかし、当時はまだ、細くてもなんとかなるのではないかという思いもあった。川崎監督が高校時代を過ごした当時の智辯和歌山(和歌山)は、食で身体を大きくすることへの意識が皆無に等しく、猛烈な練習量と相まって大きくなりきれていない選手が多かった。それでも1年夏には全国制覇、3年夏は4強と、全国上位に勝ち上がっていた。川崎監督自身も高校時代に体重が7㎏増えているが、最終的には172㎝、66㎏ほどだったという。

 しかし、自身の現役時代とはトレーニングや食事に対する考え方や環境が大きく変わっている。一方的な力負けに終わった仙台育英戦後〝これは何かを変えないといけない。今のままでは同じような大敗を繰り返すだけだ〟と感じた川崎監督は、学校に掛け合ってトレーニングルームを設置。同時に、食トレ導入に踏み切ったのだ。

「センバツの切符を取るために1分、1秒も無駄にできない」と、指導者の指導に熱がこもる。
全体練習が終了後、寮生全員が集まったところで一斉に食事が始まる。
グラウンド脇と寮に本格的なウエイト専用のトレーニングルームがある。
.グラウンドに併設された室内練習場は25m×20mの広さ。4カ所での打ち込みも可能だ。
自慢の打力は毎日の7カ所打撃で磨かれる。大会期間を除けば全部員が同じメニューに取り組む。
この日のメニューはトンカツとほうれん草のおひたし、麻婆豆腐、納豆、生卵。

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体脂肪率を減らして動きやすい体をつくる!

3年・内野手
 的場航輝さん
3年・内野手
的場航輝さん

 自分は入学時点で体重が91㎏ほどあったので、食トレを生かして筋肉をつけながら体脂肪率を減らし、いかに動きやすい身体をつくるかを意識していました。高校に入る前の食生活は油っこいジャンクなものが多かったので、炭水化物とタンパク質を同時にとるなどして、まずは食生活から見直しました。また、筋力が落ちないようにハンドボール大ぐらいのおにぎりや「強化食」で栄養を補うことで、自分の武器である高校通算19本塁打の長打力を磨くことができました。

CLOSE UP TRAINER

 過去10年間の明豊の食トレ歴の中で体重、除脂肪体重が一番成長した選手たちでした。例年以上に補食をとる選手、苦手な朝ごはんを克服する選手、「強化食」に関する質問をしてくる選手など、食に対する意識が高く、取り組む姿勢がすばらしかったです。

株式会社コーケン
食トレアドバイザー
奥田未来さん
株式会社コーケン
食トレアドバイザー
奥田未来さん

「もっとうまく、もっと強くなりたい」そんな想いを持った選手が多くいたことが明豊史上、過去最高の数字に繋がったのだと思います。「日本一」に向けて、食に対する意識ももう一段階レベルをあげて取り組めるようこれからも指導していきます。

練習、食事、休養…… 連動することの重要性

 「練習中の補食には必要な栄養素を手軽にとれる魚肉ソーセージがいい」と聞いた川崎監督は、さっそく寮に魚肉ソーセージ用の自販機を設置した。練習量が増える6月には保護者が炊き出しを行い、練習後すぐにコーケンの「強化食」を補給する。

 また、川崎監督は入学を控えた選手全員に伝えていることがある。「高校野球が始まると痩せない者はいない。〝ちょっと太りすぎか?〟というぐらいでいい。しっかりメシを食ってこい」。

 多くの新入生が、格段に増える練習量と慣れない学校生活に追われることで体重を減らしてしまう。川崎監督が1年生に与える最初の課題は「夏までに体重を下げないこと」だ。

 「練習で積み上げてきたものを出そうと思ったら、やはり身体をつくるしかありません。昔は野球が上手くなりたいなら練習がすべてでした。それが今では練習、トレーニング、食事、さらには休養までが加わっています。それらをいかに効率よく連動させていくか。科学的に野球を考えないといけません」。

 それを体現し、理想に大きく近づいたのが24年世代だったが、甲子園で勝つにはさらなる改善も必要だ。遠くに霞んで見える頂点に到達するため、明豊と川崎監督の学びはまだまだ続く。

●所在地 大分県別府市野口原3088 ●学校創立 1999年
●直近の戦績 24年選手権大分大会優勝、24年選手権大会出場

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加来恭祐さん
(3年・加来航志郎のお父さん) 
加来恭祐さん
(3年・加来航志郎のお父さん) 
Q.食トレをやってよかったなと思うことは?

A.厳しい練習に耐えるための土台となる身体づくりとして、本人が食事に関心を持ってくれたこと、どうすれば身体が大きくなるかを考え始めたことです。食べることに対して自覚が増したのは間違いありません。

Q.食トレをこれから頑張る全国の保護者にメッセージを!

A.子どもたちが好きな物ばかり食べていると、親元を離れた時に苦労すると思います。練習についていける身体をつくること、何より身体が一番大きくなる時期の土台づくりとして頑張ってほしいと思います。

文・写真:加来慶祐
掲載内容に関しては制作時の情報となります。

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